ふしぎなデイジーの旅

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 デイジーは、テラスでたんぽぽを花瓶にさしていました。              
日陰においた飼育ケースでは、ハムスターのゲインが寝ぼけ顔で毛づくろいをしています。
どこからか、声が聞こえてきました。                        
「たんぽぽは、花瓶にさしておくもんじゃないんだ」                 
デイジーは辺りを見回しました。                          
ゲインは目をぱっちりと開けて何かに気づいたようにキョロキョロしました。    






どうやら頭の上のようです。                            
見ると、人間のような形に羽を持った小さな生き物が羽ばたいていました。       
「そこのたんぽぽを一本とって」と小さな生き物は言いました。            
デイジーは言う通りに花瓶からたんぽぽを取りました。                
するとその生き物はたんぽぽの茎の中に入って行き、花の真ん中に顔を出しました。   
「わはは! へんなの!」デイジーは笑ってしまいました。              
「いいから、茎から息を吹いて」と小人が言います。                 
デイジーは、はぁぁーっと息を吸って、ふぅぅぅーっと茎に息を吹き込みました。    
するとたんぽぽの花にほわっとシャボン玉ができました。               
そして、卵くらいの大きさになるとシャボン玉はふわふわ風にのって浮き上がりました。 
中にはさっきの小さい人が入っています。                      
「うわー!、どうしてそんな事ができるの!?」                   
「僕は妖精だから!」                               
そういうとその妖精は、プチンとシャボン玉をわって一瞬のうちに消えてしまいました。 





 デイジーは、しばらくのあいだあっけに取られていました。            
飼育ケースのゲインは、コロンと転がってもう眠っています。            
「ゲインはいつも眠ってるんだから」                       
そう言ってゲインの頬袋をなでたりしました。                   
「ゲインは、かわいい! でも、ちょっと太めよ。ダイエットしなくちゃね」     
ゲインは目を覚まして、デイジーの指にガブッとかみつきました。          
デイジーはゲインと遊ぶのが楽しいのです。                    
今度は、ゲインの大好きなひまわりの種をあげてみました。             
でも、また指をかまれてしまいました。                      
ゲインは、デイジーの手のとどかないところに行って眠ってしまいました。      
デイジーは、つまらなそうな顔です。                       
デイジーのお母さんが、キャロットケーキとホットミルクを運んできました。     
「今さっき、妖精が来たんだよ!」                         
「さあ、温かいうちに召し上がれ。」                       
「本当なんだって、たんぽぽの茎を吹くとシャボン玉ができて、その中に妖精が入って 
飛んだんだから!」                               
「そういえば、たんぽぽの妖精のダリルのお話はきいたことがあるわ。その妖精に会っ 
た子供は、妖精ダリルと旅に出ることになるって言うお話。ダリルは不思議な方法で旅 
をするって。でも、お話の世界のことよ!」                    
「じゃあ、きっとシャボン玉に入ってどこかへ旅をすることになるんだわ! きっと 
そうだわ! あの妖精がやってたもの!」デイジーは、目を輝かせました。      
キャロットケーキをほおばると、たんぽぽの咲く庭へ駆け出しました。        
デイジーは、思い立ったら止まりません。                     

 「妖精ダリルさん、旅に連れていってください」                 
デイジーは、たんぽぽの前で頼みました。                     
すると妖精ダリルは現れました。                         
「一番大きなたんぽぽを摘んでごらん」                      
ダリルが言いました。                              
デイジーがたんぽぽを摘むと、あっという間にデージーの体が小さく小さくなりました。
「きゃー!!」デイジーはビックリして叫びました。                





「大丈夫そのままたんぽぽの茎の中に入って! 早く! 早く入らないと元の大きさに 
もどっちゃう!」とダリルがあわてて言いました。                 
デイジーは急いで茎の中に入りました。                      
どんどん茎の奥の方に入っていきました。茎の中はたんぽぽの香りでいっぱいです。  
どうやら花の付け根まで来たみたいです。そこには小さな扉がありました。      
妖精ダリルがやったように顔を出しました。                    





「そこで思いっきり息をはいてごらん」ダリルが言いました。            
デイジーが思いっきりふぅぅぅーーーっ!と息をはくと花のまわりからふわっとシャボ 
ン玉が湧き上がりデイジーの小さな体が入るくらいの大きさになりました。      





デイジーは花の上に立ちあがるとふわっと浮き上がりました。            
「羽が生えてる!??」デイジーは驚きました。「これってダリルの魔法なの?」    
「そうさ! じゃさっそく旅に出発!」「ちょっとまってぇー!」          
こうやってデイジーの旅は突然始まりました。                   







 ロシアの草原に二人は降り立ちました。                      
妖精ダリルは、背の低い草が生えている草原をどんどん進みました。           
そして地面に開いている穴に入っていきました。                    
デイジーも穴に入っていきました。どこかでかいだことのある匂いがしています。      
「ゲインの匂いだわ! ハムスターのおうちなのね!」                 
デイジーは、わくわくしてきました。ダリルは誰かと話しています。           
デイジーがやって来ると、ダリルがデイジーを紹介しました。              
「この子は、デイジーです。僕と一緒に旅をしている人間の子供です。」         
ハムスターのお父さんは、人間と聞くと身をこわばらせ、今にも飛びかかってきそうな   
姿勢でデイジーを見ました。                             





「この子は大丈夫です。いくら人間でも何もしませんから」ダリルが説明すると、   
ハムスターのお父さんは、話し始めました。                    
「本当ですか?人間はいつも我々ハムスターを捕まえに来るのです。私の友達は巣穴を  
掘りかえされて連れていかれました。人間はぺットとして可愛がってくれているようで 
すが、私たちにとってはとても大きくて恐いのです。大きな手で触ろうとしたり、眠っ 
てる時に起こされたり、ストレスがたまってしまうのです。ようやく逃げ帰ってきた仲 
間もストレスで長生きできませんでした。」                    
デイジーは、ハムスターのお父さんが、どうしてデイジーを怖がったのか分かるような 
気がしました。「かわいがってると思っていたことが、ハムスターには良くないことだ 
ったのね」                                   
「少しは分かってくれましたか?」ハムスターのお父さんはいいました。        
「はい!」とデイジーは元気に答えました。                     
「じゃあ私の家族を紹介しますから、奥へどうぞ。あなたは人間として来た始めてのお  
客さんですよ。」デイジーはそう言われて少し誇らしく思いました。         
奥の部屋には奥さんと小さな子供のハムスターが2匹いました。           
子供たちは少し怖がっていましたがしばらくしてすぐ慣れました。          





奥さんは、話を聞いていたのでニッコリとしてカモミールのお茶を入れてくれました。 
ダリルとデイジーはハムスターの家族と一緒に楽しいお茶の時間を過ごしました。   



 デイジーは、ハムスターの家族と別れるのがとてもつらかったようです。      
涙を一つぶロシアの大地に落としました。                     
妖精ダリルはその涙におまじないをかけました。それはやがてダイヤモンドになり、  
そして、ロシアのハムスターたちのその後にとても素晴らしい影響をもたらすことにな 
りました。                                   









 デイジーは森の中にいました。どれくらい時間が経ったのか分かりませんでした。  
でも、ダリルが見当たりません。昼間のようですが深い森は薄暗く、とても心細くなり 
ました。                                    





「ダリルー! どこ!?」デイジーはたまらなくなって叫びました。         
デイジーの声に驚いて、カッコウが飛び立ちます。リスが枝をわたります。       
デイジーは一人で森をさまよいました。たくさんの妖精たちとすれ違いましたが、みん  
な一瞬のうちに見えなくなってしまいました。デイジーは、疲れてたんぽぽの花に座り  
ました。そして思い起こしました。ロシアのハムスターのことを。最初はデイジーを恐  
がっていたこと。人間かハムスターにやったこと。                  
「今、どうしているだろう」デイジーはつぶやきました。                





すると誰かが、水晶の指輪をデイジーの指にはめました。              
それはダリルだったようにデイジーには感じました。                 
デイジーの指の水晶にはハムスターのお父さんが映っていました。           
人間がハムスターの巣穴を掘り起こして、今にも捕まえそうでした。デイジーは捕まら  
ないように祈りました。ハムスターのお父さんはダイヤモンドを取りだして、人間に投  
げつけました。人間はダイヤモンドのきらめきに目がくらんでハムスターを捕まえるこ  
とを忘れてしまいました。ハムスターのお父さんは仲間にダイヤモンドを分けました。  
それからもう二度と人間に捕まることはなくなりました。               





デイジーは、ほっとして「みんなよかったね」とつぶやきました。          
そしてその時たんぽぽの匂いが風に乗ってやってくるのを感じました。         
「ダリルはたんぽぽの咲くところにいるに違いないわ!」               
デイジーは匂いの方向へ急ぎます。だんだんと森の様子が変わってきて、太陽が眩しく  
なってきました。そして、とうとう森を抜け出しました。               










 そこはもうデイジーの家の庭でした。たんぽぽがたくさん咲いています。どこからか 
ダリルの声がします。                               
「旅は終わった。指輪は君の旅の証し。」                      
デイジーはその言葉を繰り返しました。                       
「旅は終わった。指輪は私の旅の証し!」                      
するとシャボン玉がプチン!と割れ、羽は消え、デイジーは元の人間の大きさに戻りま  
した。デイジーは、家に走りました。ハムスターのゲインは眠っています。       
「ごめんね」とデイジーが声をかけましたが、ゲインはのんきに眠っています。      
デイジーにはそれまでよりもずっと、何倍も、ゲインがかわいく見えました。      



 デイジーはこのことを知りませんが、ロシアではそれ以来たくさんダイヤモンドが採  
れるようになりました。ハムスターたちが、たくさん人間に投げつけているからです。  
あなたがもしもダイヤモンドを見たなら、それはロシアのハムスターが人間と戦った時  
のものかも知れません。                              











おしまい。


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